平安物語=短編集=【完】



その翌日から、姫君に手紙を出し始めた。

姫君に仕える女房につてがあったのだ。


…しかし一向に返事はもらえない。

姫君に求婚する男は、私が知っているだけで七人。

私もその中の一人に数えられたに過ぎないのだろう。

それが何より悔しかった。

他の、噂だけで恋焦がれる男共とは違う。

私はその姿を見たのだ。

恋心の大きさが違う。



< 703 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop