平安物語=短編集=【完】
いつものように少将様がいらしていて、弟は右大臣様の所へ参上していた夜でした。
色々お話しているうちに物悲しくなって、いつも胸に思っていた出家の気持ちを、少将様にこぼしてしまったのです。
すると
「そんな悲しい事を仰らないでください。
私が、貴女を生涯お守り致します。」
と仰るのです。
少したじろぎましたが、今更そんな色めいた意味では無いだろうと思い
「ありがとうございます。」
と申しあげました。
少将様は、本当に優しく微笑んでいらっしゃいました。