長閑【短編集】
「…ないだろ。」
「諦めが早いー!!」
いや、もう結構探したぞ。
見てみろ。マルなんか寝ちまってる。
「そういえばテレビで四つ葉を探す犬っていたよね?」
彼女はマルを見て言った。
「いや、ウチのマルチーズには無理だろ。」
俺はバッサリ否定した。
「やっぱり?」
彼女はまた草とにらめっこしだした。
「もうないよ。
誰かに「あった!!」
彼女が俺の近くまでやって来た。
手には一つのクローバー。
「どうせ?三つ葉だろ?」
俺はそのクローバーを受け取って見つめた。