長閑【短編集】


皆が無言の中、娘は自分のパンにジャムをぬろうとジャムの瓶に手をかけた。


…俺もジャムぬろうと思ったんだけど。


そう思ってジャム瓶を見ていたが娘はジャムの蓋とまだ闘っている。

あれ?

もしや開かないのか?

「開けようか?」

「黙ってて。」

「…………。」


そんな事で意地を張られてもなぁ。


娘はジャムの蓋を幾度も捻っていたがやはり開く気配はなかった。


そして、とうとうジャム瓶を机の上に戻した。


「……開けて。」

「はいはい。」


そんな嫌そうに頼まなくても。


俺はジャムの蓋を一捻りで開けた。
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