長閑【短編集】
ブランコ
会社帰りの帰り道。
ふと見上げた公園にはブランコがあった。
こんな都会にもブランコがあるかと私は公園の中へ入った。
最近仕事が上手くいかなくてむしゃくしゃしていた私は誰もいない夜の公園で1人ブランコを漕いでいる。
そういえばよくこうしてブランコに乗っていたと思い、昔の記憶を引き出してみた。
――――――…‥
「立ちこぎってどうやるの?」
あれは私が六歳の頃だった。
近所の公園でブランコに座っていたとき、隣で高いところまで揺れている彼に尋ねた。
「いや、普通に立ってこぐだけ。」
彼は私の年齢より2つ上で既に立ち漕ぎをマスターしていた。