長閑【短編集】
彼は私のお兄さん的な存在で勉強も運動も遊びもよく教えてもらった。
「‥この上に立つの?」
私は自分が今座っている不安定に揺れる場所を指差してまた彼に尋ねる。
「うん。やってみなよ。」
彼は笑ってそう言うが私はその不安定な物に足をかけるのが怖かった。
とりあえず右足を置いてみるが左足も移動させてしまうと転ぶ予感がする。
私がなかなか乗れないでいると彼は自分のブランコから降り、私のブランコの鎖を掴み足場を少し安定させてくれた。
私は彼の手助けに安心し左足を乗せた。