長閑【短編集】
――――――…‥
私は座ったままブランコを大きく漕いだ。
思えばもう三年くらい実家に帰れてないし、今年の休みは帰りたいなぁ。
そういえば彼にも会ってない。
彼とは私が中学生になった時に家の事情で引っ越してしまってそれっきりだ。
今頃どこで何してんだろ。
私はブランコの足場の上に立った。
再び反動をつけて大きく漕ぐ。
そして、
ブランコから
前に向かって飛んだ。
ドスッ
「あたた。」
少し着地に失敗。
運動音痴は何年たっても直りそうにない。
すると公園の入り口からパチパチと拍手の音がした。
私は慌てて視線を向けた。