長閑【短編集】
「誰だよ。幼稚園のときにうめたタイムカプセル掘り起こそうとか言い出した奴。」
祐樹が明らかに隼人を睨みながら言う。
「俺です。」
隼人はしゅんとなった。
「…でも確かにこの木の下のはずだろ?」
俺の質問にまた二人は頷く。
幼稚園の時、面白半分でタイムカプセルを埋めようと言う話になった。
俺らはこの木で木登りばっかしていたからここに埋めようとなった気がする。
さすがに高校生になったみんなは昔の記憶などほぼ白紙になったらしいが。
「まぁこの下手くそな地図のこの絵が木だと仮定したらの話だ。」
祐樹が地図をつついた。
地図は昨日、隼人が押し入れから見つけたらしい。
そういうわけで今日全員集合して掘り起こしてみよう。となったのだ。
「ん〜見つかんねぇなぁ。」
相変わらず同じ場所を掘り続ける隼人に俺は教えてやった。
「いや、そこはもうないだろ。」
「え?なんで。」
「幼稚園児のときの体力でそんなに掘れるかよ。」
「あー。」
気づくの遅いな。
隣で祐樹がため息をついた。
…祐樹は面倒くさいこと嫌いだからな。