長閑【短編集】


「…そういえば啓のは?」

隼人が俺の手紙を覗き込もうとした。

俺はその瞬間にポケットに手紙を閉まった。


「えー!!何で!?」
「なに書いたんだ?」

「…気にするなよ。」

俺は二人にそう言った。

言えるわけないだろ。

“みらいのけいへ

びーだまはさんにんの
たからものです。

みらいでもさんにんは
なかよしですか?”

あぁ。俺らの関係は昔から変わっていない。

俺は落ちてた三つのビー玉を拾って、その中の黄色いビー玉を隼人に向かって一つ投げた。

「うわっ何だよ!!」

こいつに似合うのは黄色いビー玉。

隼人がいるだけで周りは明るくなる。


俺は次に赤いビー玉を祐樹に向かって投げる。

「よっと。」

あいつは見事にキャッチした。


祐樹に似合うのは赤いビー玉。

運動神経抜群のこん中で一番熱い男だから。


あと俺の手に残ったのは…青のビー玉。

熱くなりすぎる二人の頭を冷やす青。

言わばとりまとめ役か。

「オーイ啓?」

「どうかしたか?」

俺が考え事をしていると二人が心配そうに顔を覗き込んできた。

「何でもねぇよ。」

俺は隼人の頭をくしゃくしゃにする。


みんな違うビー玉を持つからこそ仲がいいのか。

俺の手の中では知性の証拠

青いビー玉が光っていた。




ビー玉 end.
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