長閑【短編集】
途端に横なぶりの雨が今度は僕に襲いかかる。
…僕はその一瞬で彼女と同じ姿になってしまった。
「え!?大丈夫!?」
今度は僕が心配される立場になる。
「お互い様だよ。」
そう言って再び携帯を取り出した。
現在時刻 5時05分
「君もこのバス?」
傘の大部分を彼女にかけているので僕の服はさらに重たくなっていった。
「うん。…ていうかもう濡れてるからかけてくれなくてもいいよ。」
「大丈夫。後、数秒だから。」
僕がそう返すとようやく道の向こうからバスがやって来た。
それは僕らの目の前に止まる。