暗影の国のアリス
何かを察したのか
僕くんは静かに笑みをうかべながら
ボク
「アリス、後戻りなんてできないさ
静かに言った
アリス
「……そっ…か
“進まないといけない”
それだけは確からしかった
ボク
「アリス、お茶会に遅れるよ
またこのセリフ
アリス
「行かなきゃだめなの?
口元がニヤリとわらった
ボク
「うさぎを追いかけよう
指を指す僕くん
よく見ると血じゃない
水溜まりからハーブティーの香りがする
アリス
「これを追いかければいいのね?
わたしは真っ黒な服を着た幼い子と
ハーブティーの香りと一緒に
前へ進み出した
アリス、
小さな扉には
鍵が必要なんだよ
大きなものが
小さくならないと
意味はないけどね?
第3章 終