罪線シンドローム
Prologue……下弦の月〜上原ユキ〜
私の大好きな、夜の公園。
ベンチに腰を下ろした私から見える、大きな蒸気機関車や、モノトーンの桜には興味がない。
でも、"夜"という存在が、私を癒す。
昼間の強い陽射しは、私を受け入れてくれないから、私は夜を受け入れた。
明るさを全て取り除いた、この夜だけを。
でも、月明かりは好き。
月明かりは、決して夜の闇を壊さない。
その闇を、より深い物にしてくれるから。
< 1 / 56 >