罪線シンドローム
私の発した不意の一言を耳にした警官は、その後何も言わずに去って行った。


『彼は罪人である』


ハッキリ言われた訳じゃないけど、そう考えた瞬間、何か生めかしい物が背中を走った。

小学生の頃、友達に背中をなぞられたような……そんな感覚だ。


これまで死人が這って来た様な生き様だったが、今は違う。

私は彼に……彼に殺されたい。


地べたを這いずり回るのではなく、華が散る様に……可憐に……包まれる様に殺されたい。


彼に殺されたい。


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