罪線シンドローム
新たな世界のドアを開けた私は、月の光に導かれるまま、"それ"が良く見える公園に辿り着いた。

するとどうだろう。
そこには一人の男が佇んでいた。

背は高く、スラッとした印象の男。

どことなく淋しげに見える。


この闇夜をそのまま纏ったようなその男に、私は一瞬で瞳を奪われた。

心は男に近付こうと呼びかけるが、足がいっこうに動こうとしない。


その理由はきっとこうだ。


"その傍らには一人の女性がいるから"


彼の恋人だろうか……少なくとも、彼女は男に心を寄せている。


近付きたい……


近付けない……


ここでそっと見ていよう。


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