罪線シンドローム
無我夢中で扉の向こうへと飛び出した俺は、ふと我に返り、燃え上がり、崩れ始めている屋敷を見る。


するとそこには、勝ち誇った様に高笑いを上げる平岡がいた。


「生きろ柴田!!お前は死ねない!!死ぬ以上の苦しみを味わえ!!」


その言葉とほぼ同時くらいだろうか。後方から、怒声とも取れる呼び声が聞こえた。


「柴田ぁぁぁ!!!」


この屋敷を張り込んでいたハイエナ共だ。


ここで捕まる訳には行かない。

“お前は死ねない”
その言葉の意味にも気付かず、俺は逃げた。

警察からも逃げ、平岡からも逃げ……更には彼女からも、自分からも逃げた。


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