罪線シンドローム
「教えて下さい。」


その懇願を焦らすでもなく、男は間髪入れず私にこう言った。


「着いておいで。」


着いておいで……本来ならば疑ってかかるものだろうが、今の私にそれを断る余地はない。

彼を知る事が出来るのならば……


「……はい。着いて……行きます。」


その素直さが、男の心にハマったのだろう。彼は小さく笑いながら、こう言った。


「紹介が遅れたね。俺の名前はケンジ。橋浦ケンジ」

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