罪線シンドローム
――あれは二年前の事。


「コウタ君、こっちの人はどうすればいいの?」


コウタの仲間の一人が無邪気な声で言った。

コウタとは、心に大きな悪魔を宿した子供の事だ。

まだランドセルを背負う程幼い。……が、中身は残酷な悪魔そのもの。

仲間の一声を聞くと、奴はこう言う。


「あ、そのまま連れて来て!」


状況はこうだ。

奴の仲間はスタンガンで俺の彼女を脅しながら歩き、コウタはというと……


「お〜手ぇ手〜つ〜な〜いで〜」


俺と手を繋いで歩いている。

向かっている場所は…法の治外にある、処刑場。


< 43 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop