罪線シンドローム
その後も一人捕まえては物を言わぬ様になるまで殴り、また逃げる一人を捕まえては殴り続けた。


するといつしかその場に立っているのは自分一人だけ。


「……ミカ!!!」


その時すでに彼女の肌からは血の気が引き、末端部は体温も低下し始めていた。


「……救急車……救急車、今すぐ呼ぶから!!」


俺が焦って言うと、ミカは必死にそれを阻んだ。


「……救急車……は……ダメ。ケンジ……捕まっちゃう。」


彼女の言わんとする事も解る。でも、俺は何よりミカの命を救いたかった。


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