罪線シンドローム
俺はミカの阻む手を振りほどき、携帯を手に取った。


「……あ、もしもし!恋人が銃で腹部を撃たれたんです!急いで来て下さい!場所は……」


気が動転していた為か上手く話せなかったが、何とか伝わったようだ。


「今すぐ来てくれるって!……ミカ?」


……彼女の口から返事はない。


「ミカ……ミカ!」


強く揺すろうが、肩を叩こうが、返事はなかった。


そう……もうすでにその時、ミカは息絶えていた。


俺はその大きな悲しみを抱えきれず、辺り構わず撒き散らした。


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