人形と歯車
「スターになっちまったな」



須藤が言った。



屋上には風がよく鳴る。



「すぐに忘れるよ。でも何かな…」



言葉をつまらせる。



「珍しいな…ダダが困るなんて。いつもクールなのに」



「クールって海外ドラマでも見たのか」



「見たよ。the.o.c」



「楽しめた?」



「いや全然。」



はぁ、とため息をしてねそべる須藤。



「俺はただ楽しめたら良かったんだけどな。」



「警察を呼ばない方が良かったか?」



「いや…まぁ…それは…それで…」



あぁ、と髪をかきむしる。



「もういいよな。考えるのは辞めるか。」



すぅっと立ち上がり、



「メロン買いにいきますか?帰りに」



「イチゴの方がよろこぶかもしれない」



チャイムがなった。
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