人形と歯車

文化祭

「え?あぁ久家のこと?」


坂上は高い声だった。

文化祭の準備が着々と進む中、2‐Aのクラスの出し物に必要なモノをたずねてまわった。

委員会で備品貸出し係になっているからだ。

「あのネコのやつね。あんなやつじゃないんだけどな。気が弱いけどいいやつなんだ。」

「いいやつって…その…」


「都合のいいやつじゃないし、財布だなんて思ってないよ。まいったな。よく誤解されるんだよ。あいつ気前がいいからおごってくれるのは確かだけど」


「気前って何か金が入ったってこと?」


「たまに臨時収入が入るらしい。あんまり詳しく聞いたことないけど」


「…ありがとう」


「…佐藤さ、久家にまだ何かあるの?」


「いや気になって…そのぼくが通りがかった時に様子がおかしかったからさ」


「久家が誰かにやらされてるって思ってるの?」


「ただ気になっただけだよ」

「そうか。」


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