人形と歯車
「なんか本当に遠くにいくような気がしてきたよ。」




中井が式の終わりで下級生に囲まれる佐藤に向かって言った。




「うらやましいな。本人は嫌がっていたようにも見えるけどな。」




須藤が答える。



フラッシュ。



新しい生徒会長と写真を撮る女の子。



はしゃいでいる。



「本当は風紀委員になりたかったんだ」



「なにそれ?まね?」



「似てないか?親が弁護士だからそういう法律とか秩序とか好きなんだよ。正義ってやつ。だから本当は風紀委員になりたかったんだとよ」



「望まないけど他人に担がれるって、うらやましいような気もするけどあわれな気もするね」



「哀れではないだろう?内申書にも書けるし、何よりほら。モテモテだろう?」



「生徒会長じゃなくてもモテモテだよ。好きっていう女の子多いからね。目立つからね。頭いいし、体育祭でもアンカーでぶっちぎりだったしね。」



また佐藤を囲む輪が広がっていった。



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