あたい彼女
 近藤邸の火事を見下ろせる小高い丘までたどりついたユミは、右手を顔の前に近づけて、手のひらに書かれた字を見つめた。

手のひらには「火」と一文字だけ油性マジックで書かれている。

それは自分で書いたものだった。

達成感と倦怠感がユミの心身を満たしていく。

彼女はその場に崩れ落ちた。
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