あたい彼女
「メス」「汗」「よだれ」

手術台の上に全力を注ぐマサに、看護士が横から指示通り汗を拭いたりよだれをぬぐったりする。

いつしか、手術台の上にあった少年は、そこに何かがあった面影だけを残し、姿を消した。

手術室の換気扇がくるくる回り、室内にこもった煙を吐き出していく。

「検死終了。ごちそうさまでした」

マサの言葉とともに、検死解剖は終わった。
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