[短編]ほんとは、愛していたかった
ふと、彼の泣き顔が脳裏に浮かぶ。





大人びた顔を涙でグチャグチャにして、何度もごめんね、と謝っていた。


そんな彼をわたしは冷めた目で見つめていた。









わたしたちは終わったんだ、もう会うことはない。












また、ケータイが鳴る。





(あいしてる)





わたしはその画面をあの時と同じような瞳で見つめた。


感情のない人形みたいに、何も浮かんでこない。









< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop