花火
内心ホッとした。一人で飲んでいるより、これで少しは気が楽になるだろう。チューハイをグラスに移し、二度目の乾杯をした。グラスとグラスの重なる音が、やけに大きく響いた気がした。
見えない緊張が二人の間に壁を作っていて、それを意識しないようにすればする程に、その存在感は増していった。それを振り払おうとグラスを口に運べば、疲れのせいか、いつも以上にアルコールは勢いよく周り始めた。そのお陰もあり、さっきまでの緊張感は次第に薄れだし、これからの展開を、脳は勝手にシュミレーションし始めた。どのような手順を踏んであのベッドまで辿り着くか…。ダメだ。頭を冷やそう。
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