花火
「来ちゃった」
「星、少ないね」
少し頭の冷えたところで、殺風景な夜空が寂しく見えた。
「でも今日は、プラネタリウムより輝く夜空を見れたでしょ?」
そうだね、小さく笑って頷いた。寂しそうにしていると、春香はいつも慰めるように元気よく振舞ってくれた。今日の帰りもそうだった。
「寂しさや切なさも醍醐味か」
不意に言葉が出てきた。
「えっ?覚えてたんだ」
少し照れたように微笑んだ。そんな表情を見ていたら、自然と言葉が出てきた。
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