花火
「俺は春香が好きだ」
言った後に猛烈に恥ずかしくなった。同時にやっと言えたと、心のどこかで安堵していた。だが頭の中は、これ以上何も考えられないとばかりに、グルグルと空回りしだした。一気に捲し立てたせいか、少し呼吸も荒い。呆然と立ち尽くしていると、春香は一歩足を踏み出し、静かに背中に腕を回してきた。
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