花火
真夏の夕暮れ、駅までの五分足らずの道のりを手を繋ぎ歩いた。まだ一緒にいたいという未練が、夕日に照らされ影となり、どこまでも伸びていた。そんな二人を気にすることもなく、蝉は鳴き続けていた。余命一週間と宣告された彼らを、誰も止めることは出来ない。
「来週は隅田川の花火大会だね。来週も花火大会に行かない?」
不意に提案したのは春香だった。
「来週じゃクーラーボックスも、浴衣も用意出来ないけどいい?」
「それは来年の楽しみとして、取って置きます」
お互い顔を近づけ、悪戯っぽく笑い合った。
幸せな時間というのは、どんな時でもアッと言う間に過ぎていく。駅はすでに、目の前に迫っていた。
「家着いたらメールするよ」
「うん、わかった。気を付けて帰ってね」
名残惜しそうに手を離し、改札を抜けホームへ向かう。一度だけ振り向くと、春香は改札の前で小さく手を振ってくれた。満面の笑みで。
「来週は隅田川の花火大会だね。来週も花火大会に行かない?」
不意に提案したのは春香だった。
「来週じゃクーラーボックスも、浴衣も用意出来ないけどいい?」
「それは来年の楽しみとして、取って置きます」
お互い顔を近づけ、悪戯っぽく笑い合った。
幸せな時間というのは、どんな時でもアッと言う間に過ぎていく。駅はすでに、目の前に迫っていた。
「家着いたらメールするよ」
「うん、わかった。気を付けて帰ってね」
名残惜しそうに手を離し、改札を抜けホームへ向かう。一度だけ振り向くと、春香は改札の前で小さく手を振ってくれた。満面の笑みで。