花火
成沢家先祖代々の墓石の前に着くと、この何年か分を償う様に、掃除などを率先して行った。線香を手向け、墓前で手を合わせると、久しくご無沙汰になっていたことを謝罪し、お蔭で元気に暮らしていることを報告した。
行きよりも人数が増えて帰宅すると(霊能力があるわけではないので、正確に何人増えたのか、実際に増えたのかすら分からないが)、もう特にやることもなく、ひたすら出されるお菓子や、果物を食べ、テレビを見たりして過ごした。東京の狭いマンションでだらだら一日を過ごすより、田舎で過ごすだらだらとした時間は、より一層長く感じられた。田舎は東京に比べて時計の針がゆっくり動くのか、いや、東京の針が早く周りすぎるのだ。
< 131 / 427 >

この作品をシェア

pagetop