花火
「もういいの、たっくんは悪くないんだよ。たっくんならきっと、全てをしょいこもうとすると思ったから、だから何も言わなかったの。何も言わないで、最低の女になって消え去ろうと思ったの。途中までは計算通りだったのにね」
膝を抱える様にしゃがみ込みながら、首だけこちらに向け、微笑んでくれた。その笑顔は、出会った時に見せたそれと一緒だった。人波に溢れた、渋谷のスクランブル交差点で見せたあの笑顔と。あの時も本当は無理して笑ってたんだな。どうしていいか分からずに、微笑んだんだな。
膝を抱える様にしゃがみ込みながら、首だけこちらに向け、微笑んでくれた。その笑顔は、出会った時に見せたそれと一緒だった。人波に溢れた、渋谷のスクランブル交差点で見せたあの笑顔と。あの時も本当は無理して笑ってたんだな。どうしていいか分からずに、微笑んだんだな。