花火
たっくんはお弁当を美味しそうに食べてくれた。私はあまり食欲が湧かず、少し手をつけ、作りながらつまみ食いしたから、そう嘘をついた。本当は朝から何も食べていなかった。それなのに食欲はなかった。この日はたっくんと過ごした短い日々の中でも、一際輝いていた。タッピーはもの凄く可愛くて気に入ったし、夕暮れ時の浜辺で見た夕日は、木更津の東京湾沿いで見るそれとは、一味も二味も違っていた。久々にお酒を飲み、珍しく食欲もあり、夕版を普通に食べることも出来た。仕事で精神的に疲れていただけで、こういう楽しい時間を過ごしていれば、体も元気を取り戻すんだ。
それは淡い空想だったのか、それとも久々のお酒に体がビックリしたのか、翌日の日曜日は一日中寝て過ごした。体が重く、血液の代わりに鉛が流れているようだった。昨日ははしゃぎ過ぎたな、明日からまた仕事だ、ゆっくり休もう。
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