花火

慢性的な疲れを引きずりながら仕事をこなし、土曜日はたっくんとのデートを重ねた。そして毎回、翌日は死んだように眠り続けた。そんな日々を一か月程過ごし、江戸川の花火大会の日を迎えた。前日の夜、待ち合わせ時間を決める際に、私は三時と提案した。たっくんはその前に会わないかと誘ってくれ、嬉しかったし、会いたかった。でも何万という人込みを考えると、少しでも多く休んでおきたかった。
この日は、たっくんと過ごした日々の中でも、最高の一日となった。河原で昼間から飲むお酒は美味しかったし、花火が始まるまでの数時間を二人寄り添い過ごすことは、何よりもの贅沢の様に思えた。次々に夜空に浮かびは消える花火達は美しく、そして儚かった。だからこそ、その一瞬はより輝いた。花火の帰り道に、たっくんは初めて悲しそうな表情をしたね。