花火
自由を失い始めた体をどうにか操り、ベッドの上に倒れこんだ。窓の外ではさんさんと太陽が輝いていた。今日も三十度を超える猛暑となるだろう。それなのに体はガタガタと震え、胸に膝を抱え頭から布団を被っても、一向にその震えは止まらなかった。恐怖が心を支配していった。今までに感じた事のない恐怖。外部からもたらされるそれではなく、内部から込み上げてくる恐怖。私の体を、私の知らない何かが侵食し、支配していく恐怖。それが何かも分からない恐怖。だがそれが何かを知りたいとは思わなかった。知ったらもっと恐くなる様な気がした。大丈夫、大丈夫、大丈夫。大丈夫…だよね?
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