花火
一仕事終わったところで、手持ちぶたさがに襲われた。気を紛らわすために、取り合えず卓上の弁当とビールを片付けた。だが、携帯電話はうんともすんとも言わなかった。まぁそんな早く返事も来ないか、そう言い聞かせるが、携帯の画面が気になってしょうがなかった。
今日は本当によく待つ一日だな、そう思いつつ、風呂に入ることにした。携帯電話の着信音をオンにし、風呂のドアの前にセットした。メールが来たらすぐに気付ける様にしたのだ。
持て余した時間を潰す様に、いつもはめんどくさくて後周しにしている、タイルやトイレの掃除をし、入念に体を洗った。それでも携帯電話の着信オンは、どこからも聞こえてこなかった。
これ以上時間稼ぎは出来ない、観念し風呂場を後にし、念の為に真っ先に携帯電話のディスプレイをチェックした。だが勿論何の変化もなかった。
まぁ明日は日曜だし、酒でも飲みながらゆっくり待とう。そう決心した時に、携帯電話から華麗な和音が鳴り響いた。
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