花火
膵臓癌とは、癌の中でも早期発見が難しく、殆どの場合、見つかった時には手遅れの状態が多い。初期症状はあまりなく、気付いた時には末期癌にまで進行している。そうなると手術して切除することも難しく、抗癌剤治療や放射線治療にて、病気の進行を遅らせることくらいしか打つ手がない。その抗癌剤治療にも、脱毛や嘔吐、痺れなどの様々な障害が纏わりつく。年間に一万八千人が膵臓癌と診断され、一万九千人が命を落とす。致死率一○○%を超える難病。
それが春香の体に住みついた、病魔の正体だった。きっと彼女も末期の膵臓癌なのだろう。余命半年というのも、事実だろう。
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