花火
「元気そうでよかった。ごめんね、電話なんかしちゃって…じゃ」
言いたいことの一言も言えず、電話を切り、電源を切った。勢いでかけてしまったが、何を言いたかったのか、何を求めていたのか、それすらも分からなかった。分かったことは、私を更なる闇へと引き落とす事実だけだった。彼にはもうすでに新たな恋人がいる。それはしょうがない。そう仕向けたのは私だし、大切な人だからこそ、その至福を祝うべきなのだ。なのに、そう思えなかった。今までに増して、不治の病に侵された体が呪わしかった。こんなはずではなかったのに。悔しくて、ただ悔しくて、涙が止まらなかった。もう泣かないと誓ったはずなのに、止めることが出来なかった。
小さなテーブルの上に置かれた鏡に映るその姿は、痩せ衰え、生気を全て吸いとられたミイラの様だった。力一杯に腕を振り、鏡を振り払った。大きな音をたててガラスが飛びちった。その光景が、更に無力さを煽った。何もかもがあの鏡の様に砕けちればいい、そう願った。
言いたいことの一言も言えず、電話を切り、電源を切った。勢いでかけてしまったが、何を言いたかったのか、何を求めていたのか、それすらも分からなかった。分かったことは、私を更なる闇へと引き落とす事実だけだった。彼にはもうすでに新たな恋人がいる。それはしょうがない。そう仕向けたのは私だし、大切な人だからこそ、その至福を祝うべきなのだ。なのに、そう思えなかった。今までに増して、不治の病に侵された体が呪わしかった。こんなはずではなかったのに。悔しくて、ただ悔しくて、涙が止まらなかった。もう泣かないと誓ったはずなのに、止めることが出来なかった。
小さなテーブルの上に置かれた鏡に映るその姿は、痩せ衰え、生気を全て吸いとられたミイラの様だった。力一杯に腕を振り、鏡を振り払った。大きな音をたててガラスが飛びちった。その光景が、更に無力さを煽った。何もかもがあの鏡の様に砕けちればいい、そう願った。