花火
そんな日々に終止符を告げたのは、たった一つの呼び鈴だった。昼御飯の後片付けをしていたお母さんは、蛇口の水道を止めると、「誰だろうね」と、誰に向かうでもなく呟き、そそくさと玄関に向かって行った。扉の開く音が聞こえ、何やらとげとげしい話声が聞こえてきた。しつこい新聞の勧誘か何かだろうと思った。その考えは一瞬にして消え去ることになったのだが。
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