花火
「どうだね、一杯付き合わないかね?」
そう切り出されたのは夕飯を終え、ソファーでくつろいでいる時だった。横眼で春香に視線を投げた。
「お酒が飲める人がいて嬉しいのよ。私は今日は疲れちゃったから、先に寝るね。たっくん、あんま飲み過ぎちゃダメだぞ」
そう言って、二階の自室に引き上げて行った。
「そういうことなので、一杯付き合わせていただきます」
お母さんが、枝豆やキュウリのぬか漬けと共に、ビールの瓶を持ってきてくれた。最初の内は終始、仕事の話や実家の話などで盛り上がった。途中からは、一段落ついたお母さんも加わり、三人で酒の席を楽しんだ。酔いの助けもあってか、それぞれの口は達者になり、こういうのも悪くないなと思った。
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