花火
帰りの電車の中、何度となく左掌を眺めた。さっきまで春香と繋いでいた手。まだ微かに彼女の温もりを、その小さな手の形を覚えていた。そして今日一日を、まるで夢のようだったと思い返していた。メールを一日何十通、何百通やり取りするより、それを毎日繰り返すより、一日一緒にいるということは、なんと発見が多いことだろう。そしてなんと心躍ることだろう。久々の再開に緊張した笑顔、たっくん、初めてそう呼んだ時の照れた笑顔、タッピーを抱えた嬉しそうな笑顔、夕暮れの浜辺で見せた弱弱しい横顔、別れ際の寂しそうな笑顔、手を振りながら懸命に作っただろう笑顔。全てが心を大きく波打たせた。また会いたい。早く会いたい。
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