花火
『もうバッチリ調べたよ。三時か、その前にどこかでご飯でもどう?』
『う~ん、ごめん。最近疲れが溜まってるみたいで、午前中はゆっくり休もうかなって。ごめんね』
チッ。小さく舌打ちをするが、こんなことでいじけてもしょうがない。気を取り直して返事を打った。
『具合でも悪いの?午後は人混みで疲れるだろうし、午前中はゆっくりした方がいいかもね。それより穴場スポットは分かる?』
『それは任せておいて。学生時代から毎年行ってるから、バッチリ』
学生時代から毎年か。一体誰と行っていたのだろう?最近密かにに芽生え始めた嫉妬心は、中々手強い相手だったが、呑まれてはいけない、そう必死に抗った。
『じゃ今度のデートは、春香に指揮を任せるね』
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