不幸パラソル
「本音はもっと仲良くなりたいんだけどね…」

私は小さく呟いた。

「ん?何か言った?」

英美香の耳には届かなかったみたいだ。それでいい。今はまだそれで…。

「私ももっと仲良くなりたいのよ…」

英美香が呟いた言葉は私の耳には届かなかった。


まだ全てをさらけ出すのは怖いから。

笑みをたたえながらぽつりと零れた彼女の本音。

まだその深意にお互い気付かずに擦れ違ってゆく。


似た者同士のジレンマはまだ終わらない…。
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