不幸パラソル
化粧も終わり髪型も整えて彼の到着を待つ。

「やっと出来たわ!遠山くん褒めてくれるかしら?」

そうしているうちに約束の時間は近付いてゆく。


あれから一時間。彼からの連絡はない。

「また約束破ったのね」

彼が約束を守らないのは今に始まった訳ではない。当日に気分が乗らなかったり、仕事が忙しかったりでよくある事だ。


もう慣れた。気分屋で気まぐれな彼にいつも振り回されている自分。

「仕事が忙しいなら連絡くらい入れてちょうだいよ。私との約束なんて貴方には何の重みもないんだわ」


私の電話の着信音が鳴ったのはそれから30分経った後だった
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