不幸パラソル
色鮮やかな黄土色のアーチをくぐり抜け、ふと気が付いた。

今私が歩いている公園にはたくさんの広葉樹が植えてあり、今はまさに銀杏の季節なのだ。

もうこんな季節なんだ…そういえば頬に当たる風も心なしか冷たい気がする。金木犀の香も足元に落ちる銀杏の葉っぱも、
すべてが自分の存在を主張している。

何も言えずただ黙って許して本心を言えない私とは大違いだ。

金木犀はその身体に纏わり付く香で、銀杏に至っては木々もさることながら、風に乗って落ちてゆく葉っぱの一枚一枚までもが、自分の存在を伝えるかのように誇らしげだ。

はらはらと落ちてゆく葉っぱのなんと潔いことか。

少し晴れやかな気持ちになり心の中で木々達にお礼を言って家路に向かうべく公園を後にした。


「勇気をくれてありがとう」と。
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