神威異伝
序章・ 全ての始まり
まだ日が上りかけている早朝。
山の中腹を歩く、一人の少女がいた。
少女の名は理緒。
髪の色はこの国では珍しいと言われる茶色。
その髪をつむじの近くに、一つに束ねている。
この山の麓(ふもと)にある、白月(しらつき)村の村長の孫娘である。
幼い頃に両親を亡くした理緒は、祖父である村長の家に寝泊まりをしている。
祖父から投げ短刀の技術を教わって以来、理緒は朝方こうして狩りに来るようになった。