神威異伝
日向は地図から視線を上げ、同じように地図を見ていた十夜と理緒を見た。
「そういう事だよ、十夜。…この白山を越えるのに、最低二日はかかる」
一旦言葉を止め、日向は続けた。
「あの宿の主人の話を鵜呑みするつもりじゃないけど…気をつけた方が良い」
「おぅ」
「…分かったわ」
十夜と理緒は頷き、手短ながらも返事をした。
地図をたたみながら、日向は微笑んだ。
「さて、これで俺からの話は以上。今から台所借りて、夕飯を作って来るよ」
そう言って日向は立ち上がると、理緒も立ち上がった。
「あたし手伝おうか?」
日向は首を横に振る。
「大丈夫だよ。それよりも理緒は、今のうちに風呂に入って来ると良い」