神威異伝



……そして、冷たい微笑を携えて男はこう言った。


(さようなら、『   』)


男は言い終わる前に、昔の自分の右手を強く蹴り上げた。

蹴られた右手は、もはやその力に耐える事も出来ず……崖の淵から離れた。



(うあぁあああぁあぁああぁぁっ!!)


声を上げながら落ちていく昔の自分の目に、最後に映ったのは――……


闇夜に輝く、月に照らされた男の淡い金色の髪。



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