神威異伝
「うあぁあああぁあぁああぁぁっ!!」
昔の自分と同じ様に声を上げながら、十夜は跳ね起きた。
息を切らし、肩を上下させ、汗を滝の様に流す。
周りを見渡し、今自分がいるのは白山村の宿だと確認すると、十夜は深く息を吐いた。
十夜の寝ていた布団から少し離れた所に、日向が寝ている。
十夜が使っている布団と色違いの布団の上に、日向はうつ伏せになっていた。
寝にくくないのだろうか、と十夜は思ったが日向は今だ瞼を閉じたままである。
二人が寝ている部屋の隣の部屋には、理緒が一人で寝ている。
あんなに声を出したのによく起きないなと、十夜はある意味二人に感心したのだった。