神威異伝
「……や、おき…っ!!…おやっ、十夜っ!!」
「……ん、ぅう…」
十夜は自分の名を呼ぶ声で、目を覚ました。
寝惚けているせいか、十夜は自分を起こした人の顔がハッキリと見えない。
それが、夢の中で会った顔も知らない女の姿と被って見えた十夜は呟く。
「……あんた、誰なんだ……?」
「なに寝惚けてんのよ、馬鹿十夜っ」
ゴンッ!!
「ぃで!!」
十夜の事を馬鹿呼ばわりする声と同時に、振り下ろされた拳で十夜は飛び起きた。
その時、ようやく十夜は自分を叩き起こした人が誰か分かった。
「あ、何だ……理緒か」