神威異伝
「理緒…?」
歩みを止め、十夜が振り返る。
「あたしも行―…」
「ならぬ、理緒」
理緒の言葉を遮るように、賢雄が口を開いた。
言いたい事を言わせてもらえなかった理緒が、賢雄に問いかける。
「おじいちゃん…っ、何で…」
「お前が今、何を考えておるか儂が分からんとでも思うか?」
眉をひそめ、理緒が呟く。
「な、何よそれ…」
「……十夜と共に行く事は許さん…良いな?」
賢雄がきっぱりと言いのけると、動揺した理緒はぴくりと肩を揺らした。
ため息を吐き、賢雄が諭すように理緒に言う。
「外はお前が考えてる以上に危険じゃ、それにお前は、まだ外に出るには若い…早すぎる」